岡山県立大学 保健福祉学部 現代福祉学科 准教授
口村淳
※本記事は、季刊誌『地域包括ケアを担う通所&施設マネジメント』2021年5月配本号より一部抜粋し改変したものです。
医療・介護連携における相談員業務の実際
ここでは2つの事例を通して,相談員の医療・介護連携における取り組みを見てみたい。最初に事例の概要を示し,その後に相談員の対応について解説する。
【事例1】入院中に経管栄養となり吸痰が必要な利用者の退院の場面
◆ 概要
Aさん(男性,80代後半)は,脳梗塞を発病し入院となった。相談員が面会に行くと,Aさんは経管栄養(経鼻胃管)をしていた。
病棟看護師に経緯を尋ねると,食事摂取が難しいため,家族の同意を得て経管栄養になったということであった。痰の量が多いため,入院中は昼夜問わず吸引をしていた。
5日後,病院から「急性期の治療が終了したので退院を検討したい」と連絡が入った。相談員は,退院前カンファレンスに参加した。病院側の説明では「現在も吸引はしているが,夜間の吸引回数はそれほど多くない」とのこと。家族から「施設でも病院と同じように吸引をお願いしたい」と希望が聞かれた。
相談員は「施設では看護職員が不在の夜間帯の医療行為は難しい。今の状態で施設に戻ると,痰による窒息の可能性も考えられ,救急搬送の回数も増えるのでは」と施設の体制を説明した。家族は「このままでは施設に戻れないのか。かといって家では看られない」と不安を口にされた。
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