岡山県立大学 保健福祉学部 現代福祉学科 准教授
口村淳
施設・事業所間による利用者確保の「競争」
表1は、特別養護老人ホーム(以下、特養)、短期入所生活介護(以下、ショートステイ)、通所介護(以下、デイサービス)の施設・事業所数の過去5年間の推移を表しています。軒並み増加傾向にありますが、特にデイサービスの伸び率には目を見張るものがあります。
こうした介護保険に関するサービスとは別に、近年、サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)や有料老人ホームの数も増加していることが、表2・3から見てとれます。これらの事業所は、さらに増加傾向が著しいことがわかります。
特養についていえば、入所待機者が全国に約37万人いるといわれています。ただし、これには地域格差が存在します。地域によっては、特養の整備が加速しつつあることに加え、サ高住や有料老人ホームといった類似する事業所の増加により、「ほとんど待機者がいなくなった」という相談員の声を聞くことも少なくありません。
つまり、利用者数より施設の定員(キャバシティ)が上回っている地域も存在するのです。そうした地域では、施設・事業所間による利用者確保の「競争」のような状態が起こり得ることが考えられます。
逆境に負けない体制作りを!
介護事業はあくまでも公益性の高い仕事ですから、決して「勝ち負けを競うものではありません。しかし、施設・事業所側からすれば、利用定員を満たさなけれぱ収入減に直結します。
表4を見ると、近年倒産する事業所が増えてきていることもわかります。度重なる介護報酬改定の影響もあると思われますが、業績が悪けれぱ非情にも倒産する時代なのです。
(この続き:1158文字)
この続きはメルマガ登録メンバー限定です
続きを読むには…
初めての方は、下記の青いボタンもしくは本サイト(ページ)最右上部の「ログイン」をクリック(タップ)してメルマガ登録メンバーにご登録ください(登録は無料です)。
ご登録いただいたメールアドレスとパスワードを入力してログインした後、下記の青いボタンをクリック(タップ)していただくと、全文が読むことができます。
Comments