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苦情に真摯に対応する相談員の心構え

岡山県立大学 保健福祉学部 現代福祉学科 准教授

口村淳

※本記事は日総研季刊誌『地域包括ケア時代の通所&施設マネジメント』2020年5月WEB版掲載記事を一部改変したものです。

介護施設に寄せられる苦情の原因は,接遇の悪さ,サービスに関する情報不足,設備面の不備,事故,私物の紛失などさまざまである。


一般に,特別養護老人ホーム(以下,特養)やショートステイでは転倒や誤嚥などのリスクが少なくない。転倒や誤嚥といった事故や対応のまずさなどから苦情に発展することもみられる。場合によっては,多額の賠償や訴訟に至ることも考えられるため,苦情対応は疎かにしてはならない。


こうした事故や苦情の対応において,現場レベルで中核的な役割を担っているのが相談員ではないだろうか。事故と密接な関係にある苦情対応は,相談員にとって避けて通ることができない業務といえる。


そこで本稿では,事故(リスク)が原因となった苦情を中心に,対応に難渋した事例と円滑に進んだ事例の比較を通して,苦情対応の考え方や実践内容について考えてみたい。なお事例は,プライバシー保護の観点から,内容に支障がない程度に加工を施している。

苦情対応に難渋した事例

まずは,ショートステイの送迎に端を発する事例と,ショートステイ利用中に起こった転倒事故に関する事例を紹介する。いずれも苦情対応に難渋した事例である。


事例1:ショートステイ送迎時に車いすが壁にぶつかったことに対する苦情


Aさん(80代後半,女性,要介護5)のショートステイの退所に際し,介護職員と運転手の2人で自宅まで送迎をした。

その後,Aさんの家族から「先ほど送迎してもらった時,車いすが廊下の壁に当たって,壁に傷ができた」と苦情の電話が入った。


訪問先から戻った相談員が,Aさんの家族から苦情があったことを聞き,Aさんの自宅に単独で向かった。現場を確認するも,すでにあったと思われる複数の傷があり,今回の送迎時にできたものかは断定できない状況である。


相談員は「この(壁の)傷は今回の送迎でできたのですか?」と問い返したところ,Aさんの家族は「送迎で(傷が)できたのだから,そちらで(壁を)修復してほしい」ということであった。その場で返答はできないため,相談員は施設に戻ることとした。


施設に戻るや否や,相談員は施設長に呼び出された。相談員が施設に戻るまでの間に,Aさんの家族から施設長に直接電話が入ったとのこと。相談員は施設長より「相談員から謝罪の言葉が聞かれなかったことにAさんのご家族は立腹されている。利用者から苦情があった場合は,上司に相談してから対応してほしい」と注意を受けた。


(この続き:3118文字)

 

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