岡山県立大学 保健福祉学部 現代福祉学科 准教授
口村淳
※本記事は、季刊誌『地域包括ケアを担う通所&施設マネジメント』2021年5月配本号より一部抜粋し改変したものです。
特別養護老人ホーム(以下,特養)では,2015年に原則要介護3以上の人が入所の対象となって以来,平均要介護度は年々上昇傾向にある1)。
平均要介護度が上昇しているということは,障害や医療依存度の高い利用者が増加していることでもあり,入所者の入院リスクも高くなってきていると言えよう。
入院リスクの高い入所者を施設で受け入れていくには,これまで以上に介護と医療の連携が不可欠となる。特養の生活相談員(以下,相談員)にとって,病院と施設(特養)をめぐる医療・介護連携は,避けて通れない業務である。
本稿では,特養入所者の入院に伴う医療・介護連携について,事例を通して,相談員の役割を中心に述べる。
特養における医療・介護連携とは
特養における医療・介護連携の中には,通院治療も含まれるが,本稿では入院治療を中心に考えたい。
最初に,法令上の「入院」に関する規定を確認しておこう。「指定介護老人福祉施設の人員,設備及び運営に関する基準(老企第43号)」にある「入院」に関する条文を表1にまとめる。
表1から言えることは,施設では医療職を中心に日頃から入所者の健康保持に努めた上で(第18条),体調が悪化した場合などには医療機関につなぐ必要があり(第4条の3),3カ月以内の入院であれば入所者がスムーズに施設に戻れるように配慮しなければならない(第19条)ということである。このことは,相談員が医療・介護連携を進めていく前提として理解しておく必要がある。
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