ヘルプズ・アンド・カンパニー
西村栄一
※本記事は日総研の隔月刊誌『達人ケアマネ』2017年12-1月号掲載記事を一部改変したものです。
AIによるケアマネジメント業務の定義について考える
実際に,AIによるケアマネジメント業務はどのレベルまで期待できるのでしょうか。私の偏見で,レベル1~3に定義してみました。
レベル1:AIが自動的にケアプランを作れるようケアマネジャーを支援する。 レベル2:AIがケアマネジャーに代わって自動的にケアプラン(書類)を作る。 レベル3:AIがケアマネジャーに代わってケアマネジメントをする。
ケアマネジメントにAIを活用することを想定して,2018年度介護報酬改定の協議を行っている社会保障審議会介護給付費分科会(以下,分科会)の課題の中から,影響がありそうな動きを3つ抜粋しました。
①高齢者と障害児者の制度の縦割りを超えて必要なサービスを柔軟に提供できるようにすることや,限られた人材・地域資源をより有効活用するための「共生型サービス」におけるケアマネと障害の相談支援専門員との連携の評価。
②特定事業所集中減算についてのあり方と,サービスを受ける利用者・家族への説明・同意プロセスなどを考慮することが話し合われています。つまり,AIの活用で事業所都合の偏りのない公正中立なサービスが提供できているのかどうかの評価。
③近年,国策により増加しているサービス付き高齢者向け住宅について,訪問介護の生活援助や,併設の通所介護にいるだけのレスパイトケアで無用なサービスが常態化していないか,また,そのサービス提供がどのように重度化の防止や自立支援につながるかどうかの評価。
さらに分科会では,AIの導入を促進させるための加算や,介護ロボット導入による人員削減の可能性まで調査対象にしています。
しかし,意見具申させていただくならば,「AIの技術を取り入れて,介護職員の負担軽減や働く環境の改善,人手不足の解消,サービスの質の向上につなげられる」と見込んでいるところは,安直ではないかなと思います。
「もともと少ない職員をさらに減らすのは困難」という意見が多い点からも,最も理にかなっていると言えるでしょう。負担軽減はできても,安全管理や業務進行の監視をするはずのセンサー技術を監視するという業務があります。
いわゆる,インプットとアウトプットのゲートキーパーがまさに人間であることが外せない条件だと思います。
(この続き:2734文字)
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