合同会社松本リハビリ研究所 所長
理学療法士 松本健史
※本記事は日総研の隔月刊誌『通所介護&リハ』2014年9-10月号掲載記事を一部改変したものです。
私は普段,理学療法士として通所サービスや老人ホームで介護職の皆さんとチームになって仕事をしています。
そんな中で,リハビリテーション(以下,リハビリ)の知識を生かし,利用者の生活という視点でかかわれるよう,運動学・解剖学の知識について学ぶことで皆さんのケアが少しでも向上し,利用者を元気にする「生活リハビリの達人」が一人でも多く誕生することを願っています。
本稿では,「高齢者の転倒」について考察し,通所サービスや老人ホーム,在宅などで実施しやすい生活場面でのリハビリについて考えます。
高齢者の転倒の要因
高齢者の転倒は,骨折などのけがにつながり,運が悪ければ,そのまま寝たきりになってしまう大きなリスクをはらんでいます。
よって,通所サービスでも,できるだけ転倒予防のメニューを提供する必要があります。転倒のリスクが高い人の特徴を理解し,早めに対応することで,低下する身体機能の維持・改善に役立てることができます。
また,通所サービスの強みは,利用者の在宅生活とリンクしていることです。例えば,送迎では利用者が自宅でどんな様子で過ごしているか(住環境,介護者などの家族状況)を知ることができます。
そういった情報を基に,一人ひとりの住環境に合ったリハビリメニューを作成することを心がけましょう。また,自宅で転倒しやすい場所などを知り,可能であれば環境改善も提案し,取り組んでいけるとよいでしょう。
高齢者が転倒しやすい要因はいくつか考えられます。ここでは,多くの高齢者に見られる次の3つの要因に着目し,アプローチの方法について述べます。
身体機能的要因:筋力低下,関節可動域の低下,バランス能力の低下など 脳機能的要因:特に複数のタスクを同時に処理するといった脳機能の低下など 環境的要因:段差や傾斜,あるいは床に物が乱雑に置かれている状況
(この続き:2760文字)
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